真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 12
「とっ止まれっ!」銃やライフルを手に停止を叫ぶ兵士にかまわず、アクセルを踏み込む。「止まってなんて、いられないんですよっ。」右に左に大きく蛇行しながら、軍用車を操るヒュリーは、口の端を吊り上げながら声を漏らした。普段なら温和が服を着たような…
小説 文章 真理の扉ハガレン
真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 11
自分にまとわりついていた黒い影が、突然霧のように消えてなくなった。アルフォンスは、また白い空虚を漂っていた。どこからか、自分を呼ぶ声がする。遠くから呼びかけるその力強く、頼もしい声に懐かしさがこみ上げてくる。アルフォンスは、空間を漂うのを止…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 10
柔らかく暖かな日差しが降り注ぐ芝生の庭を、2人の少年が駆け回る。ブーメラン投げに興じる彼らを、少し離れた位置のガーデンテーブルから眺め、ブラッドレイ夫人は目を細めた。「ルース君、本当に元気になって……セリムも、一緒に遊んでくれる友達ができて…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 9
「わー。何、あの石像。」「飯が食える所はないのか?」リオールに到着するや否や、観光気分で辺りをきょろきょろ見まわしたり、腹が減ったと喚く同行者をなだめながら、アルフォンスは以前兄と一緒に立ち寄ったフードスタンドに向かった。「「あ。」」そのス…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 8
診察室の寝台に横たわる金髪三つ編みの少年を見下ろし、老医師は嘆息を漏らす。重傷だと運ばれてきた患者の衣服は、ほこりや土にまみれ腹部の左側はボロボロに引き裂かれて大量の血液が付着ているが、その破れている箇所から露出している身体の部分には真新し…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 7
「ここは……一体。」気が付くとアルフォンスは見たこともない場所にいた。今までいた雪の山中ではない。夜の闇のような濃い群青色の空間。上下の区別もないが直立を保っていられる不思議な場所だった。後ろを振り返ってみると、はるか彼方に小さな灯が見える…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 6
その訪問は突然だった。病室のドアの前で警護という名目で立っている軍人たちが、緊張し敬礼する。「彼は、まだ起きているかね。」威厳溢れる声の質問に、更に背筋を伸ばす。「はっ。最近は消灯ぎりぎりまで読書をしております。」部屋から漏れる灯に、訪れた…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 5
「いい名前だね。今から、僕はルースだ。」はにかんだ笑みを浮かべるアルフォンスの身体に、エドワードは我が意を得たりと笑う。そんな彼らに、アルフォンスもえへへと笑った。自分から言い出したことだが、こうして別の名前を喜んで受け入れている「自分」を…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 4
───あれは、誰の言葉だったのだろう……エンヴィーに連れて行かれるアルフォンスの身体を見送ったエルリック兄弟は、マスタングから小銭を巻き上げ…もとい、借りると司令部近くの公衆電話ボックスに飛び込んで、ラッシュバレーのウインリイへ電話をかけた…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 3
「どーすんだ。その豆女。」「どーするも。こーするも。ケガしてるから、医者にみせないと……」前を歩く人造人間ホムンクルスに聞こえないように、兄弟は小声で話し合っている。先ほど、浅黒い男と一緒に乱入して来てグラトニーに襲われた少女を、アルフォン…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 2
───ここは、寒いな………一度、温もりを体験したしまったからだろうか。毛布に包まれていても、足元から伝わる石の冷たさが堪える。冷えがじわじわと身体全体に広がってきて、「アルフォンス」は身を縮こませた。一度は沈静化したが、現況は新たな侵入者に…
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真理の扉からアルの身体を持ってきちゃった 1
気が付いたら「そこ」にいた。真っ白な空間。上も下も右も左もみんな真っ白。どこか分からないその空間に、ぽかりと存在する巨大な「扉」。その前に彼はいる。いつからそうしているのか分からない。名前はない。というか分からい。名前はあったはずだと、彼と…
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