ニッポンの皇子さま その19
「まあ。それで帰りが遅くなったの。仕事中の宰相閣下の執務室に押し掛けるなんて……」ルルーシュたちの帰城が遅いことに心配していたマリアンヌは、自身の騎士からの連絡にほっとするものの、その事情にため息を漏らす。「とにかく早く戻ってきなさい。」戻…
ニッポンの皇子さま 小説
ニッポンの皇子さま その18
「どういうことなのか、説明してください。」スザクと共に士官学校の視察を終えたルルーシュは、居城であるアリエス宮に戻らず、シュナイゼルの執務室があるイルヴァル宮へと車を向かわせた。戸惑うスザクと慌てるジェレミアの忠告を無視し、止めようとする官…
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ニッポンの皇子さま その17
帝立ボワルセル士官学校内にある体育館から、大きな声が上がる。 一般施設と比べて巨大なこの建物から外部に漏れるほど声が響くなど極めて稀な事だ。 前を歩く士官候補生たちは、思わず立ち止まって、建物を見る。「一体なんだ?」 首を傾げ、興味にひか…
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ニッポンの皇子さま その16
帝立ボワルセル士官学校。ブリタニア軍直営のエリート養成機関である。 この学校の卒業生には、戦女神の呼び名も高いコーネリア第二皇女殿下、ナイトオブラウンズのノネット・エニアグラム卿がいる。 歩兵隊の行軍や、市街戦の模擬演習など、皇族検閲用の…
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ニッポンの皇子さま その15
「士官学校?そこが次の訪問先なの?」 ルルーシュの公務が開始した。 公務と言っても、10歳の皇族が就く務めは皇室の広告塔だ。 慈善事業など非営利団体の主催するセレモニーのゲストや、プレゼンター。学校・保育園や病院などの慰問がその殆どを占めて…
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ニッポンの皇子さま その14
「ずいぶんと楽しそうだね。」 かけられた声にそちらを振り向けば、カノンを連れたシュナイゼルがニコニコと立っている。 ルルーシュがうれしそうに駆け寄る。ナオトは皇族への礼の姿勢をとった。「宰相閣下。」「やあ枢木卿。アリエスでの生活には慣れたか…
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ニッポンの皇子さま その13
弦楽四重奏曲が朗々と流れる。 貴婦人達の朗らかな笑い声と衣擦れの音。楽しげな話し声が開け放したテラスの窓越しに、庭にいるスザクの耳にも届いた。 ルルーシュと並んで招待客を出迎える。 スザクがブリタニアにやってきて早ひと月。今日はルルーシュ…
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ニッポンの皇子さま その12
枢木スザクの朝は早い。毎朝5時には起床し、軽い柔軟体操の後5kmほどのジョギング、その後竹刀の素振り……これを日課としている。 アリエス宮でも、勿論実践しようとしたのだが………「ランニングですか……」 アリエス宮の家令を務める侍従長は、う…
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ニッポンの皇子さま その11
アリエスの離宮に用意された自室に入ったスザクは、さてと…と、声を出すと、上着を脱いでベッドに放り投げ腕まくりをした。 運び込まれた荷物は、身の回りの物を詰め込んだトランクの他に、先に送った段ボール類もある。 城の南側にあるその部屋は日当た…
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ニッポンの皇子さま その10
「あら。でも、花嫁を捜しにいらしたというのは本当でしょ?」 ユーフェミアが投げかけた問いは、周りの大人…特に当の本人を、目が点になるほど驚かせた。「はい?」「これも違うのですか?」 ユーフェミアは心底困ったという表情を浮かべる。「宮廷中の噂…
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ニッポンの皇子さま その9
「驚きました。優秀な方だと伺っていましたが、日本語がこれほど堪能だとは……」「私も、ルルーシュが日本語を学んでいるのは知っていたが、まさかここまで上達しているとは思わなかったよ。」「発音とか、おかしなところはありませんか?」 少し恥ずかしい…
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ニッポンの皇子さま その8
「初めまして。枢木スザク様。」「ブリタニアへようこそ。日本の皇子様。」 興奮と期待が入り交じった淡いすみれ色の瞳と、紅潮させた頬で出迎えてくれた2人の姫を前に、枢木スザクは戸惑っていた。 アリエスの離宮に到着したスザク一行を、ヴィ家の執事…
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