がっくり肩を落としながら、大総統府を出る。
と、懐かしい顔が彼を待っていた。
「シェスカさん。」
「お疲れさま。アルフォンス君。」
軍法会議所に勤めるシェスカだ。
「多分、今日ここにきてると思って待ってたの。」
そう言って数個の包みを渡してくる。
「ホークアイさんと、レベッカさんと、私から。」
「……ありがとうございます。」
「今や、国民的人気国家錬金術師だものねえ。知り合いとして鼻が高いわ。」
昔と変わらず、人を和ませる笑みを向けてくる彼女に、自然と笑みが漏れる。
「毎年大騒ぎされるのが嫌だったら、早く彼女作りなさいよ。」
「鎧だった頃からずっと、そう思っているんですけどねえ。」
こればっかりは……
「ご縁だものねえ。」
未だに独身の彼女と顔を見合わせて笑った。
「あ。そうだ。シェスカさん。今日はもう仕事は終わりですか?」
「ええ。」
「すみません。ちょっと買いもの付き合ってもらっていですか。」
「買い物?」
「錬金術の本と犬のおもちゃ頼まれてて……」
「エドワード君の子供たち?」
喜んで付き合うという彼女と連れ立って、街へ出る。
その姿を見て、悔し泣きをする女性が多数いたとかいなかったとか……
大総統執務室では、グラマンが安請け合いした見合い写真の束に嘆息を漏らしていた。
「やれやれ……
余計なお世話でしたか。」
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