Extra care - 2/7

「………で、急な呼び出しの理由は『これ』ですか。」
ニコニコ笑顔の大総統に、不敬を承知でげんなりとした顔をする。
「そう。これ全部君宛だから。
これのために、倉庫を用意するわけにいかないでしょ。」
「はあ……おっしゃる通りです。
例年通り、そちらで処分していただいて結構なのですが……」
一応、言いにくそうに答えれば、グラマン大総統も困った顔をする。
「勿論、ほとんどはそうしているよ。
でもねぇ。ここに残してあるのは、おいそれと処分できない代物だから。」
そう言って、送り主の名前をこれ見よがしに見せつけてくる。
「これは、大物議員のご令嬢。こちらは大財閥のお嬢さん。その他、名立たる名士のお嬢さんや親戚筋のご令嬢等々……
そうそう勝手に処分できないでしょ。中には、直接君に渡してくれと頼まれたものもあるんだよ。」
「───お手数おかけして申し訳ありません。
礼状と、品物を用意します。」
なんで僕が謝らければならないんだと憤りながらも、頭を下げる。
「毎年申し訳ないね。よろしく頼むよ。今年は例年にも増して数が多くてね……まあ。君も適齢期だしね。」
苦笑交じりの言葉に、眉尻を下げる。
今日が2月14日であることをすっかり失念していた。
大総統執務室の一角に積まれた、自分の名の入った段ボール箱の山に、アルフォンスは深く嘆息を漏らすのだった。

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