Extra care - 1/7

「アルーっ。お出かけ?」
「どこいくのぉ?」
足にまとわりついて質問してくる子供たちの目線まで腰を落とし、アルフォンスは笑いかける。
「急なお仕事で、中央セントラルまで行くんだ。」
「セントラルっ!?」
兄とうり二つの甥っ子はその金色の瞳を煌めさせる。
「お土産、何がいい?」
「ご本っ。錬金術のご本がいい!!」
何の迷いもなく言い切る子供に苦笑する。中央に出張の度、強請られるのは錬記述関連の本ばかりだ。
4歳にして錬金術ができるのは血のなせる業か。さすがエドワードの息子だとしか言えない。
「本以外には、何がいいかな。」
笑顔を崩さず問いかければ、「んー?」と腕を組んで考え,ニパッと笑顔で「おかし」と答える。
「りょーかい。」
甥っ子の頭をなでると、じーっと物欲しげな眼で自分を見つめてくる姪っ子に視線を移す。
「ニーナは、何が欲しいの?」
「あのね。おもちゃが欲しいの。ワンちゃんが一緒にお散歩してくれるの。」
「うん。分かった、探してくるよ。」
その答えに、彼女は目をキラキラさせて喜ぶ。
「アル。ごめんね。出張の度のお土産強請って。」
眉尻を下げて謝ってくる義姉に首を振る。
「僕が好きで買ってくるんだから、気にしないで。」
ウインリィは相変わらず眉を下げながらも微笑する。
「でも、今から出かけるんじゃ、帰ってくるのは夜中になっちゃうわね。」
「国家錬金術師機関からの呼び出しだから仕方ないよ。
それより、兄さんから連絡あった?」
「うん。やっと人の手配が付いたから、今夜帰ってくるって。」
「そうか。良かった。」
兄のエドワードは、近くの村で起きた大きな地滑り事故の応援で、数日前から怪我人の治療のため、出かけたきりになっている。
中央セントラルで大学病院の勤務実績がある彼は、この地域では優秀な外科医と引く手数多なのだ。
きっと寝る間も惜しんで治療に当たっているであろう。兄の健康を気にしていたアルフォンスは、その答えに安堵の息を漏らした。
よし。次は僕の番か。アルフォンスは気を引き締め玄関を出る。
「行ってらっしゃーい!!」
元気のいい声に送り出され、振り向て手を振った。

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