Return of the alchemist

Letters

「エドっ。アルっ。あんたたちに手紙だよ。」届いた郵便物を、ピナコが2人に渡す。エドワードには小包、アルフォンスには書簡だ。どちらも同じ差出人で、小包は私信のようだが、アルフォンスに届いた封筒は軍用品で軍の紋が浮き彫りされた封蝋がされている。…

Extra care

「アルーっ。お出かけ?」「どこいくのぉ?」足にまとわりついて質問してくる子供たちの目線まで腰を落とし、アルフォンスは笑いかける。「急なお仕事で、中央セントラルまで行くんだ。」「セントラルっ!?」兄とうり二つの甥っ子はその金色の瞳を煌めさせる…

Their reasons

「ああ。美味しかったぁ。」ピナコとウインリィの手料理をぺろりと平らげ、アルフォンスは満足そうに腹をさする。彼の様子に、ピナコもウインリィも満足げな笑みを浮かべた。「ばっちゃん。ウインリィありがとう。とーっても美味しかったよ。」「そうかい。い…

幸せのカタチ

駅からロックベル家に到着した兄弟を、飼い犬のデンが発見して嬉しそうに尾を振りながら、歓迎するように声を上げる。その様子に、アルフォンスはアメストリスに帰ってきたことを実感するのだった。「ただいま。デン。」飛びついてくる犬の頭をなでてやる弟を…

詐偽の対価

「もしもし。あっ兄さん?やっぱり、もう帰っていたんだね。うん。今、イーストシティ……予定だったら昨日のうちに発つはずだったんだけど……ちょっとお節介焼いたらマスタング准将に捕まっちゃって。」朝一番で、ここイーストシティ駅を出発する列車を待つ…

銀時計

アルフォンスは今日何度目かのため息を漏らした。予定では、今頃はリゼンブール行きの列車に乗っているはずだった。いや、夜行列車があるかもしれない。上着のポケットから簡易版の時刻表を取り出すとページを繰って、また嘆息する。今夜は、この街で宿をとる…