a captive of prince 第7章:スザク皇子 - 3/6

「カレン。スザク皇子の披露パーティーに出るそうだな。」
 ゼロに呼び出されたカレンは、アジトの彼の私室で尋ねられた。
 どうして自分がパーティーに出る事を知っているのかと疑問が頭をもたげたが、ゼロが個人的に呼んでくれたという事が嬉しくて、深くは考えなかった。
「はい。生徒会長に、一緒に出席してくれる様に頼まれたので……」
「シュタットフェルト家の令嬢として出るのではないのか?スザクを通じてシュナイゼル宰相とコンタクトを取ろうと考えている貴族が、年頃の娘を出席させようとしていると聞いたぞ。」
 からかうような響きの問いに、カレンは顔をしかめた。
「義母から絶対に出ろと言われましたが、家のために何かするつもりはありませんから。」
「友人の同伴という事か。どちらでもいいが、スザク皇子と接触して欲しい。」
「……暗殺するんですか?」
 思わず漏らしたカレンではあったが、慌てて口を押さえる。
「───私は、承諾していないが……君も、殺すべきと考えているのか。」
「いえ。でも……ディートハルトの言う通り、スザクと彼のナイトメアは脅威になると思います。」
 それは、スザクへの対策会議の席上の事だった。
 声高に暗殺を主張するディートハルトに対し、穏健派の扇とスザクのかつての師であった藤堂が難色を示し、ゼロが暗殺の必要なしと判断したのだが、団員の中には、首相の息子でありながらブリタニアの皇子となったスザクを裏切り者と言って、ディートハルトに同調するものも多数いる。
「藤堂の話だと、スザクはブリタニアに拉致され、皇子として捕われている可能性が高い。今まで公にされてこなかった事からも間違いないだろう。」
「でも、スザクはブリタニアの軍属で、しかも大佐です。私達を敵として倒すとも言っています。」
「7年もの間、宰相シュナイゼルの元に置かれ皇族教育を施されたのなら、洗脳されていてもおかしくない。」
「洗脳!?」
「だから、君に確認して来て欲しいのだ。スザクが、ブリタニアに心酔し、更生が難しいのか。それとも、私の想像通りブリタニアに捕われ、日本に心を残しながら皇子としての立場に縛られているのか。皇子でいる事を強要されているのなら、先日のパフォーマンスは、彼からのSOSとも取れる。」
 ゼロの話を、カレンは一理あると考えた。日本人であるにも関わらず、ブリタニア貴族の令嬢である事を強要されている自分と重ね、スザクの事を一概に裏切り者と罵る訳にはいかないとも思い始めていた。
「もし、スザクがブリタニアにすっかり染まっていたら……」
「暗殺などという姑息な手段を選ばなくとも、戦場で堂々と殺せばいい。相手は軍人なのだからな。」
「はいっ。」
 カレンは、ゼロがそう言ってくれた事が嬉しかった。
 スザクの白兜…ブリタニアは「ランスロット」と呼んでいたが。
 (皇子の操る機体に“裏切りの騎士”の名をつけるとは、どういう神経なのか理解できない)
 それは大変な脅威ではあるが、だからといって暗殺などという手段を選んでまで殺したくはない。
 クロヴィスは安全な場所で指揮を執っていたが、スザクは自ら前線に立ち、一機で乗り込んで来ている。
 その闘い方を、カレンは潔いと感じていた。
 だから、もし彼を殺さなければならないのなら、戦士として堂々と闘ってからだと思っている。
 ゼロと自分が同じ考えだという事が、何よりも喜ばしかった。

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