淹れたてのコーヒーをアルフォンスの分も持ってきたウインリィは、何かを思い立って席を離れた。
戻ってきた彼女の手には、小包があった。
「郵便屋さんがね、アルが駅に向かうの見たからって、こっちに持ってきてくれたの。」
そう言って渡された包みの送り主はシン国のメイ・チャンだった。
「そうか。師匠の新刊送ってくれたんだ。」
小首を傾げる彼女に説明する。
「僕とメイの師匠が書いた錬丹術の新刊本。メイに送ってくれるように頼んでたんだ。」
そう言って包みを開ける。
中から出てきたのは本数冊と……
「ほほーぉ。なかなかモテますなあ。
アルフォンス君?」
「にっ兄さん!?」
いつの間に降りてきたのか、エドワードがニヤニヤ笑いで頭の上から覗いてきている。
本の束の中から出てきたのは、可愛くラッピングされたチョコレートと思しき包み。
「皇女殿下手づからチョコレートのプレゼントとはね。」
「なっ何でこれがチョコレートだってわかるのさっ。」
「そりゃ分かるさ。今日2月14日だろ。今日届くように送ってくるあたり、ニクイねえ。」
人の悪い笑みを浮かべる兄に、アルフォンスはしどろもどろだ。
兄弟のやり取りを、ポカンと見ていたウインリィは、夫同様な笑みを浮かべる。
顔真っ赤にしちゃって……「鋼の錬金術師」も形無しね。
兄夫婦にニヤニヤ見られ、アルフォンスはテーブルの上の包み達をかき集め立ち上がると階段を駆け上がる。
「ぼ、僕もう寝るから。ウインリィ、ごちそうさま。
あ、あと。明日起きたら、兄さんの身体のメンテナンスするからね。今日はお風呂入って、ゆっくり身体休めて寝るんだよっ!」
「へいへい。了解です。主治医殿。」
軽く手を振る兄に、口をとがらせながら2階に上がっていく。
弟を見送って、エドワードとウインリィは顔を見合わせた。
「からかい過ぎたか。」
「かな? でも、まあいいんじゃないの?」
アルにあんな顔させる相手がいるなんて、いい事じゃない?
楽しそうに笑う妻に、エドワードも頬を緩ませるのだった。
Extra care - 6/7
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