a captive of prnce 第12章:キュウシュウ戦役 - 6/9

「くっ───!」
 フロートを利用して飛び上がると、上空からヴァリスで一斉にガン・ルウを破壊する。
 たった1機で多くの敵を倒すには友好な手段だが、ネックはエナジーの消費量だ。そうそう使える戦術ではない。
 地上に着陸し、MVSで目前の敵を切り倒して進もうとしたランスロットに、背後から一発の砲弾が撃ち込まれ、背中のフロートユニットが火を噴いた。
 ランスロットはそれを切り離した。
 その直後、コクピットに警告音が鳴り響く。エネルギー残量を示す目盛りが赤く点滅している。
「くそっ。やはり使いすぎたか……!」
『殿下!』
 遥か上空、アヴァロンにいるセシルの叫び声が届く。
『フロートに供給していたエネルギーラインをカットして、戦闘機動と通信のみにエネルギー消費するようにしてっ早くっ!』
 セシルの指示に従って、スイッチを切る。
 そのとき、スザクのインカムには彼女とはまた別の音声が届いていた。
 オープンで繋がっている澤崎が、勝ち誇った顔でスザクに呼びかけてくる。
『投降したまえ。ブリタニアの皇子として丁重にお迎えするよ。
君が改心して枢木スザクに戻ると言うのなら、同士として歓迎しても良い。
君にはいろいろと利用価値がある。』
「お断りします。中華に使われているだけの貴方の道具にされるのは、御免被る。」
『そうか。ククク……似ているよ君は。強情なところが父親そっくりだ。』
 澤崎が冷笑を浮かべる。それと同時にランスロットが盾にしていた倉庫を、陣形を再編したガン・ルウが取り囲んだ。
 数は16……上空に配備している戦闘機も合わせると、スザクに勝機は無い。
 が…上空で爆撃音が断続的に続いたかと思うと、ランスロットを取り囲むナイトメアが次々と爆破した。
 と、同時に上空からサザーランドが3機飛び降りて来くる。
『殿下。ご無事ですか?』
「レナード。」
『エナジーフィラーの予備、お持ちしました。』
 アヴァロンより、輸送機で運ばれたスザクのSPが、サザーランドで援護に来たのだ。ロイドとセシルの機転だった。
 SPとはいえ、シュナイゼルが自軍の中から選んだ生え抜きぞろいだ。
『ふん。実質戦闘可能な機体は2機だけだ。どうやって、それを受け取る。』
 勝利を確信する澤崎は、ブリタニアのあがきに呆れた顔をする。
 実際問題として、敵に取り囲まれた状況に変わりはなく、敵はエナジーフィラーを持つサザーランドとランスロットに執拗に攻撃を仕掛けてくる。
 それをかいくぐって受け取るのは至難の業だ。
 ついにランスロットは、戦闘できない状況に陥り、サザーランドが護る形で身動き取れなくなってしまった。

「まだ…まだ着かないのかっ。」
 アヴァロンからの報告を逐一受けていたコーネリアは、じりじりとして戦略パネルを見ながら声を荒げる。
「先ほどより風雨が強くなって来ています。上陸は難しいかと……」
「何としても上陸させよ!このままではスザクが……!」
 敵陣の中の4つのマーカーを食い入るように見ながら叫ぶ。
 その時、敵を示すマーカーが次々と消滅した。
「───なんだ?」
 目指すフクオカ基地を見れば、ナイトメアが燃えているらしい灯りが数多く上がっている。
 基地上空から放射線状に光の矢が刺さって行く。爆発の光がまた上がった。
 その光の発生源……地上から立ち上る光に照らされて浮かび上がるものを、コーネリアは息を呑んで見つめた。
「あれは……」
「基地上空の画像をっ!」
 ギルフォードの命令に、パネルの画像が切り替わる。
 嵐の夜の闇にとけ込む巨大な機体……他のKMFに先駆けてフロートシステムを標準装備しステルス航行をもする研究中のナイトメア。
 神根島でゼロに奪われたとされるそれが映し出されていた。
「ガウエン……では、いま中華を撃ったのは……」
「馬鹿な。テロリストが、スザクを助けた…だと……」
 コーネリアは目を見開き、艦長に怒鳴る。
「エンジンの出力を最大にしろっ!!この上、黒の騎士団まで加わったら……っ。」
 コーネリアの命令を受けて揚陸艦は出力を最大にし、艦は右に左に激しく揺れる。
「くっ!」
 座席から投げ出されまいと肘掛けにしがみつくコーネリアを、ギルフォードが支える。
「早くっ早く行かねば……っ。スザクッ!」
 スザクが、ゼロに奪われる。
 コーネリアは、忌々しげに黒い巨人を睨みつけた。

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