Girl friend - 2/2

「すごい。」
「おいしそう。」
「これ全部ルルーシュが作ったのか?」
テーブルの上に並べられたランチに、3人が感嘆の言葉を次々と言う。
「まるでレストランのランチみたい。食べるのがもったいないわ。」
「記録……」
アーニャはシャッターを切る。
「うちのシェフより上手いかもしれないな。」
「ほら。睨んでいたって腹は膨れないぞ。」
「そうだよ。早く食べよう。」
2人に促されて、ナイフとフォークを手に取る。
「アーニャが持ってきたオレンジで、デザートも作ったからな。」
「本当?楽しみ。」
「アーニャはずっとジェレミア卿を手伝っているの?」
「時々黒の騎士団の応援にも行っている。」
「そうか。今の生活楽しい?」
「とても…スザクは?」
「僕も、今が生きていて1番楽しいよ。」
「よかった。」
お互いの近況を確認し合いながらの、和やかな昼食だった。
「ああ。お腹いっぱい。」
満足そうなカレンの笑顔に、皆笑う。
「さあ。今日のメインエベントだ。」
「なに?」
キョトンとするカレンに対し、他の皆は含みのある笑みを浮かべる。ジノとアーニャがカーテンを引いて外光を遮った。
「ちょっと?」
「カレン。誕生日おめでとう。」
「えっ?」
ルルーシュの言葉を合図に照明が消され、パチパチと火花のはぜる音が響く。キッチンからルルーシュがケーキを持って現れ、ケーキの上の花火がきらきらと辺りを照らす中、それはカレンの前に置かれた。
大きなチョコレートケーキの上には『Happy Birthday Kallen』と書かれた板チョコが乗っている。
「これ……」
「今日はサプライズパーティーだったのさ。」
ジノが悪戯っぽい笑顔でウインクする。
「カレンの誕生パーティー。」
「会場と料理提供は僕たち。」
「「「「ハッピーバースデイ。カレン。」」」」
「み…みんなぁ……」
感激の声を上げるカレンに、皆も嬉しそうに笑った。

 

「本当にありがとう。すごく嬉しかった。」
パーティーのあと、リビングから続くウッドデッキで庭を見ながら、カレンが言う。
ウッドデッキの前には芝生の庭とその向こうに生い茂る針葉樹の森が広がっている。
庭では、ルルーシュがジノと一緒に、飼い犬のボーダーコリーとフライングチャッチで遊んでやっている。
「ルルーシュが犬2匹と遊んでるみたい。」
ぼそりとつぶやくアーニャに、スザクとカレンは顔を見合わせて笑う。
「今日のパーティー、ジノが切っ掛けだったんだよ。
通信で話している時に、カレンの誕生日がもうすぐだって話になって、そうしたら、パーティーしようってルルーシュが提案したんだ。」
「ルルーシュが?」
「うん。カレンには一杯苦労や心配かけたからって……」
その言葉に、くすぐったそうな笑みを浮かべてルルーシュを見る。
「それにしても、さっきのランチすごくおいしかった。スザクは毎日食べれるんでしょ。羨ましい。」
「だったら、今度泊まりがけで遊びに来れば?
そしたら3食堪能できるよ。」
「本当にいいの!?」
スザクの言葉にカレンはすぐ飛びつく。
軽い気持ちで言ったスザクは、その反応の良さに面食らった。
「う…うん。僕は構わないけど。」
「じゃあ。今夜泊まっていく!」
「こっ今夜!? いくらなんでも急じゃ……」
「だって、今“いい”って言ってくれたじゃない。」
「うん。言った。」
食い下がるカレンにアーニャが追い討ちをかける。
「……C.C.が使っている客間が空いているけど……」
「やった。じゃあ決まりね。」
「私も一緒に泊まっていい?」
じっと見つめるアーニャに、スザクは冷や汗をたらしながら頷く。
「──僕が使ってたベッドが余っているから…大丈夫だよ。」
「ベッド、新しいの買ったの?」
「あ…うん……いろいろ事情があって大きいのを……」
「それ、スザクの?ルルーシュと共用とか……」
「え…ええっと……一応僕のだよ。」
しどろもどろのスザクの答えに、カレンとアーニャがニヤリと笑う。
「だったら私達、スザクの部屋に泊まる。」
「へっ!?」
「3人でガールズトーク。」
「ねっ!」
顔を見合わせて頷き合う2人に、スザクは唖然とした。
「ガ…ガールズトークはいいとして……なんで3人?」
「スザクも一緒だから。」
「パジャマパーティしよう。ね、スザク。」
「はい?」
盛り上がっている2人についていけない。いけないばかりか、彼女らに自分が同類と思われている事に焦る。
「ぼ…僕、男だよ。」
「でも、私達と話が合うはずよ。しつこい男の撃退法とか教えてあげるから。」
カレンが耳打ちした言葉に目を瞬かせて彼女を見る。
「──カレン……それ……ベッドの上でも…有効かな……」
ぼそぼそと口ごもりながら尋ねれば、黙って親指を突き出す。
スザクの目が輝いたのを見て、交渉成立を確信したカレンは外のジノに向って声をかけた。
「ジノ!今日私達泊まっていくから、あんたは1人で帰りなさいねっ!」
「えー。なんだよそれは。だったら私も泊まっていくぞ。スザク、一晩飲み明かそうぜ。」
「駄目よ。スザクは私達と一晩中語り合うんだから。」
ギャイギャイ言い争うジノとカレンを見守るスザクに、ルルーシュが尋ねる。
「カレンと一体何を語り明かすんだ?」
「ナイショ。でも、女友達っていいものだよね。」
「うん?」
ニコニコと機嫌のいいスザクに、首を傾げるルルーシュだった。

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