「ルルーシュ、スザク。今日が何の日か知っているか。」
機嫌良く2階からダイニングへ下りて来たC.C.が開口一番でのたまう。
朝食の準備をしていたルルーシュとスザクは、手を止めてきょとんと彼女を見た。
「おはよう。C.C. 今朝はずいぶんと早いね。」
「全くだ。いつも昼過ぎまで寝ている奴が…まだ、朝の7時だぞ。」
驚いたり呆れたりしている2人に、質問に答えていないとムッとする。
「今日……て。3月14日だよね。」
「3月14日だよな……」
何かあっただろうかと顔を見合わせる男2人に、焦れたC.C.が声を荒げる。
「3月14日だぞ。何故気づかない。今日は何か重大なイベントがあるはずだろ。スザク!」
「えっ!?」
ご指名で問いつめられたスザクは、少し考えてからポンと手を打った。
「ああ、そうか。ブリタニア生活が長いから、気がつかなかったよ。
ホワイトデーだったね。」
「ホワイトデー?」
ルルーシュが、聞き慣れない単語に首を傾げる。
「日本にある風習…のようなものだよ。バレンタインデーに贈り物をもらった人が、そのお返しをする日。……でも、僕、C.C.に何か貰ったり、してもらった覚えがないんだけど?」
「細かい事は気にするな。バレンタインデーが女性から男性にプレゼントする日なら、ホワイトデーは男が女にプレゼントする日だと、私は認識している。」
「認識……って。」
スザクが呆然と言葉を漏らす隣で、ルルーシュが息を吐く。
「それで、俺たちにプレゼントを強請りに朝早くから起きて来たのか。」
そんな事で早起きできるなら、毎日ちゃんと朝から起きればいいじゃないかと、ルルーシュはC.C.に構わず朝食作りに戻った。
その様子に、C.C..は小さく舌打ちする。
「あのドケチめ。何もする気がないな……スザク?」
ことさらにっこりと笑う彼女に、スザクの顔が引きつる。
「スザク。そんな女に何かしてやる必要はないぞ。大体、自分からプレゼントを強請るとは厚かましい。第一、お前の食べるピザ代を出し続けて来た人間を捕まえて、ドケチとはなんだ。この恩知らず。」
「何だと。そもそも、私がギアスを与えなかったら、お前の人生はとっくに終わっていたんだぞ。命の恩人に対して、一生尽くしても足りないくらいだとは思わないのか。」
いつもの調子で喧々諤々始めるルルーシュとC.C.の耳に、スザクの穏やかな声が届く。
「いいよ。今日はC.C.のいい様にする。」
「本当か。それは。」
ニュアンスの違う2人の声がはもる。
「うん。C.C.は何がいいの?プレゼント?デート?ディナー?」
スザクの問いかけに、C.C.は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニヤリと笑う。
「全部だ。」
その答えにルルーシュは唖然とし、スザクは吹き出して笑う。
「……欲張りな奴。」
「いいよ。じゃあ、まずデート……どっちとするの?それとも僕たち2人?」
「おい。なんで俺がこいつとデートなんか……」
「私だって、ルルーシュとデートなんか願い下げだ。こいつとは、そういう間柄じゃない。」
「……じゃあ僕と…か……どこに行こうか。映画、美術館…それともショッピング?」
「それも全部だ。」
「おい。」
ルルーシュが睨みつけるが、C.C.は全く意に介さずに言葉を続ける。
「映画を見た後、美術館に行ってショッピンングとランチだ。」
「その後は?」
畳み掛けるC.C.に挑む様に、スザクが問う。
「帰ったら、ルルーシュの手作りディナーが食べたい。」
「……だってさ。ルルーシュ。」
そう笑いかけるスザクに、ルルーシュも肩をすくめる。
「解ったよ。ディナーとプレゼントは俺が引き受ける。スザクは、その我が儘女のご機嫌取りをしてくれ。」
「誰が我が儘だ。」
ルルーシュのひと言ひと言に食って掛かるC.C.をスザクが宥める。
「今日1日のスケジュールが決まったところで、朝食にしよう。
市街に出るなら早くしなきゃ。
女の子は、準備に時間がかかるでしょ。」
「私は、化粧をしないと外に出られないような顔はしていないから、そんなに時間はかからないぞ。」
「はいはい。」
僕に下調べする時間くらいちょうだい。等と軽口を言いあいながら、いつもより賑やかな朝食をとると、C.C.はスザクの運転する軽自動車でネオウエルズまで出かけていった。
「全く。朝から慌ただしい……」
ため息と共に2人を送り出したルルーシュは、家事をこなすために、庭先から家の中へ戻っていった。
Home sweet home - 1/2
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