共に煌めく青玉の【騎士選抜】 - 2/3

「ナイトメア公開模擬戦?しかも、学外から飛び入り可!?」
 そんな事、校長に提案したんですか貴方はっ!
 呆れて大声を上げるスザクに、シュナイゼルは煩そうに顔をしかめる。
「まあ聞きなさい。今回で、お前が狙われる事は最後にしたいのだよ。」
 いい加減、腹に据えかねているのでね。
 そうつぶやいて、副官のカノンが入れた紅茶を優雅に飲むシュナイゼルを、スザクは驚きを持って見つめる。
 子供の頃からの習慣である、サンルームでのティータイムは兄弟の和やかな楽しみの時間なのだが、今日はいつもと趣が違う。
 士官学校で同じ制服に身を包み、学友として密かにスザクを警護している者達が、本来の軍服姿で控えているからだ。
「つい先日の訓練での“事故”……あれは、死ぬところだったからね。レナードとジノが気がついてくれて本当に良かった……」
 実弾を使用した実戦訓練中、スザクの騎乗するナイトメアが突然動作しなくなってしまったのだ。折しも、戦車の砲撃訓練が始まるところだった。退避に遅れたスザクが、砲撃の的と間違われていたら………
「今までは、せいぜい怪我程度だったからそのままにしておいたが…さすがに放置する訳に行かなくなったからね。
 連中も、本気になってきたという事か……私の宰相就任が切っ掛けかな。」
 そう言って、すまなそうにスザクを見る。
「数年前からどうも身辺がきな臭いので、スザクをボワルセルに入学させたのだが…それがかえって隙を与えてしまったようだ。」
 私の考えが甘かったと反省しているよ。と、謝罪する。
 その事に、スザクは頭を振った。
「そんな……僕がいる事が、兄上にとっては負担のはずなのに……」
「負担なはずなどないだろう。お前がいてくれるからこそ、今の私があるのだよ。」
 シュナイゼルの言葉に小首をかしげるスザクを他所に、カノンが資料をシュナイゼルに渡す。
「シュナイゼル様に害意を持つ者と、士官学校在籍者の照合結果です。」
「───やはり彼らか………」
 リストを見たシュナイゼルの目が、怜悧な光を宿す。
「さて。では、私が何故こんな大仕掛けを用意したか話そうか。」
「───僕をエサに、誰をつり上げようと言うのです?」
 鋭い視線で尋ねてくるスザクに、シュナイゼルは笑みを浮かべる。
「血統の良さが能力の高さと比例すると思い込んでいる愚か者と、スザクのためにその命をも捧げてくれる真の騎士だよ。」
 楽しそうに話すシュナイゼルに、スザクはあっけにとられて肩の力を抜く。
「まだ、騎士のこと諦めていないんですか……」
 ジノが、寮で乱闘騒ぎを起こしたことを理由に、騎士候補リストを没収、焼却処分したのはほんの2ヶ月前のことだ。
「当たり前だろう。このイベントの勝者が手に入れるのは、スザク・エル・ブリタニアの騎士候補筆頭の座だよ。……勿論、スザクが認めれば…の話だが……」
 無言で睨みつけてくる弟に、シュナイゼルはだんだん歯切れ悪くなる。
「───ここにいる皆さん。勿論参加されるんですよね。」
「当然です。ジノとアーニャも参加する意向です。」
「ジノだけじゃなくアーニャも?だって彼女は、ラウンズになるって……」
「腕試しだそうです。」
 レナードの答えに、スザクは引きつった笑みを浮かべる。
「………模擬戦。僕も出ていいんですよね。」
「勿論。バックアップは万全を期すよ。」
「楽しみだな。」
 楽しそうに笑い合う2人を、周りの軍人らは冷や汗を浮かべて見守るのだった。

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