『キュウシュウブロックで勃発した反体制組織によるテロ事件の速報をお伝えします。
本日未明、コーネリア総督の電撃的作戦により、エリア11統治軍は主犯の澤崎敦以下4名の旧日本政府メンバーを逮捕。関与した中華連邦軍の半数以上を捕虜としました。なお、中華連邦首脳部は今回の一件について、あくまでリョートー軍管区曹将軍の独断であるとの姿勢を崩しておらず、チベット条約に基づく捕虜の返還を要求しています。
これに関しまして、エリア11にご滞在中の帝国宰相シュナイゼル殿下は帝国外務省を通じ、国際法廷への提訴も視野に入れた対応を協議したいとのコメントを発表されており───』
事件の顛末を淡々と伝えるニュースが流れる。
それを観ながら、シュナイゼルは苦笑した。
「ゼロが、スザクと共闘とは……ね。」
「全く。彼の価値観は理解できませんわね。」
同席しているカノンも、ため息まじりに頷く。
「いや。彼の主義主張は一貫しているよ。“不当な暴力は許さない”とね。何を“不当”とするかは彼らの主観によるものだが……
今回の澤崎の行動は、ゼロにとっても許しがたいものだったのだろう。」
「ただのテロリストと、侮れない人物ではありますね。」
「そうだね。」
執務室のテレビでは、捕縛された澤崎らが連行される様子がLIVEで放送されている。
兄とともにそれを見ているユーフェミアは、兄とはまた違った事を考えていた。
───ルルーシュとスザクが一緒に……───
神根島で考えたことが、現実に起こっている。
これは夢なのではない、願えば叶う……ううん。願いだけではなく行動に移さなくては……ルルーシュとスザク2人のため、そして、自分の願いを叶えるために………
「無事の帰還、安堵しました。」
副総督の執務室を訪れ帰還の報告をするスザクを、ユーフェミアは優しい微笑みで迎えた。
「ありがとうございます。出発前、懸案事項があると仰せでしたが……」
「ええ。その事ですが……2人だけで内密に話したいので……」
ユーフェミアの言葉を受け、スザクを残し全ての者が退出する。
ユーフェミアは、スザクをソファに座るよう勧めた。
「2人きりで…て、何の話だい?」
てっきり仕事の相談かと思っていたスザクは、怪訝な顔で首を傾げる。
「ええ。とても重大な事です。私にとってもスザクにとっても……」
「なんだい?怖いな……」
場を和ませようと少しおどけてみせるスザクに対し、彼女は真剣な表情を崩そうとはしなかった。
「お話ししたい事は……ゼロの事です。」
ゼロの名に、スザクの表情も厳しいものになる。
「ゼロの正体……その仮面の下を、私は知っています。」
ユーフェミアの告白に、スザクは息を呑み驚愕した。
「ユフィ……」
それきり言葉を失い、彼女を凝視する。
室内は沈黙が支配し、マントルピースの上に置かれたアンティークの置き時計の音が、やけに大きく響いていた。
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