a captive of prince 第3章:ゼロ - 3/4

あの日、クロヴィスの親衛隊に取り囲まれ殺されると思った時、額を打ち抜かれて倒れた少女から受け取った不思議な力。
目を合わせた人物に1度だけ命令を与えられる力「ギアス」。この力を以てすれば、生きた骸のような生から確実な生へ…目も見えず足の不自由な妹ナナリーが安心して生きてゆける世界が作れる。
ブリタニアの捨てられた皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは歓喜した。
母の支援貴族であったアッシュフォードに匿われ、ルルーシュ・ランペルージを名乗って密かに復讐の炎を燃やし続けて来た。
自分を巻き込み、親友で行方不明の枢木スザクと同じ日本人を虐げ、その命すらもまるで虫けらの様に殺した第三皇子を第1の生贄とした。
こうして次々と皇族を殺していけば、いずれあの男が…シャルル・ジ・ブリタ二アが出て来る。
その時こそ、この力を使って……!

だが、事態はルルーシュの思惑通りには動かなかった。
エリア総督クロヴィス・ラ・ブリタニアの暗殺が公表されたのが、シンジュク事変の2日後。
それと同時に殺害犯として、1人の名誉ブリタニア人が逮捕されたと報じられた。その時、ルルーシュは懐かしい名を耳にした。
「容疑者は、自称枢木スザク───」
その名に、ルルーシュとナナリーは釘付けになった。
「お兄様。今、スザクさんて……!」
「いや。待て。ナナリー、こいつは偽物だ。」
ナナリーは知らないが、これまでにも何人もの”枢木スザク”が処刑されている。
この男も、そう言った者達の1人だ。だが、ルルーシュはこの男をどこかで見た事があったような気がしてならなかった。
記憶の中のスザクとは似ても似つかない容貌。濃い茶のストレートの短髪、お世辞にも精悍とは言えない情けない顔。
連行される際抵抗したのか、あちこち痣のあるその顔に妙な既視感がある。
そして、テレビアナウンサーが容疑者の名を読み上げた時、ルルーシュの記憶とつながった。
「刑部賢吾。思い出した、こいつはスザクの親戚だ。
ナナリー、昔、枢木の家で俺たちの事をいじめてスザクに殴り倒された奴だ。」
「あ。あの方ですか。」
ナナリーも思い出したようで、複雑な顔をしている。
「その方が、なんでスザクさんを語っていたのでしょう。」
「さあ。なんでだろう。」
そう答えるものの、ルルーシュには大体の見当がついていた。
イレヴンの中で『枢木』は偉大な人物の代名詞となっている。亡き首相の遺児を名乗れば、それなりに一目置かれる。 名誉ブリタニア人の部隊の中では、かなり良い目を見れただろう。
だが、それが仇になったようだ。賢吾の浅はかさを嘲笑する。
「お兄様。賢吾さんを助ける事は出来ないのでしょうか。」
「ナナリー?」
「あの方は、意地悪で正直あまり好きな方ではありませんでしたが、スザクさんの親戚の方が、あらぬ疑いで酷い目に遭っているのは耐えられないです。
ねえ、お兄様。何とかならないものでしょうか。」
無理を承知の訴えが、ルルーシュを突き動かした。
7年前別れたきり、ぷっつりと消息が途絶えてしまったスザク。
アッシュフォードによって身の安全を確保してから、スザクの足跡をたどろうとしたが、全くと言う程手掛りがなかった。
もしや、戦果に撒かれて亡くなってしまったのか。
それさえも、確かめるすべもなく今日に至っている。
枢木と同じキョウト六家の人間ならば、スザクの事を知っているかもしれない。
そしてルルーシュは、本人も意図していなかった表舞台に、素顔を隠して躍り出る事になったのだった。

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