万聖節に君と…… - 3/3

「ここは……」
11月1日。スザクが、ルルーシュを伴ってやってきたのは、彼の墓がある戦没者霊園だった。
ナイトオブゼロ枢木スザクの墓の横に、小さな石碑がある。
仰々しい墓碑銘のその墓の脇に、寄り添うようにあるその小さな石には、バラの彫刻が施されているだけだった。
「ユフィの本当のお墓は、コーネリア様の離宮の庭園の隅にある。ユフィの亡骸はエリア11で荼毘に付されて、遺骨が埋葬された。
ナイトオブラウンズになった時、コーネリア様の厚意で分骨して頂いて、自分の屋敷の隅にこの石碑を作った。ゼロになって、ここに移設したんだ。僕がいなくなった後、あの屋敷がどうなるか分からなかったから。」
「そうか……」
「これは……僕のエゴなんだ。
彼女には、『枢木スザク』の側で眠っていて欲しい。
未練がましいって笑っていいよ。」
苦笑いを浮かべるスザクに、ルルーシュは小さく首を振る。
「ユフィも、お前の側で眠れて喜んでるよ。きっと……」
彼の言葉に、スザクの笑みが柔らかくなった。
白バラの花束を石碑に供え、手を合わせる。
「また、来るよ。」
小さく呟いて立ち去ろうとするが、傍らのルルーシュはじっとその場に止まっている。
「スザク……」
何か言いたげなルルーシュの肩をポンと叩く。
「車で待ってる。ゆっくりして来て。」
「すまない。」
優しく微笑んで、スザクはその場を後にした。

「お待たせ。」
車の運転席には、C.C.が座っていた。助手席に座ったスザクが首を傾げる。
「この席でいいの?」
「ああ。あいつが戻ってきたら、お前らは後ろに座れ。きっと、泣き疲れて戻ってくるぞ。」
「……そうだね。」
「お前こそ、今年はここでいいのか?」
揶揄するような問いかけに肩をすくめる。
「今までさんざん泣いたからね。今年は、ルルーシュに譲るよ。」
その言葉に、魔女はクスリと笑う。
「お前は、墓に参るたびに泣いていたからな。あの皇女とルルーシュと。」
「今年からは、もう泣かなくて済む。彼が側にいてくれるから。」
2人、顔を見合わせくすくす笑った。
スザクが、隣に座る彼女の手を握った。
「C.C.。今までありがとう。」
「何の話だ。」
「いつも、僕が彼女や彼の所に行くときには側にいてくれたろ?見守ってくれていて、側に君がいてくれてとても救われた。
泣いて、懺悔して……振り返ったら君がいた。だから、すぐに前を向いていられた。」
「私はルルーシュの共犯者だからな。あとから加わった共犯者のフォローも私の役目だろ?」
「ナイスフォローだったよ。」
また、笑みがこぼれる。
「なあ。あいつ、いつ戻ってくると思う?」
「……少なくとも、日が傾くころには。」
「まだ、昼だぞ。」
「ランチとディナーが一緒になりそうだね。」
「ま。仕方ないか。」
軽口を言い合いながら、彼が戻ってくるのを待つ。
万聖節に君と……これからは毎年来よう。いつか、2人そろって笑顔で彼女の前にいられる日まで。

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