recapture

R2 17話捏造。共闘ネタです。

「そう。シュナイゼル殿下の指示でね。
殿下はずいぶん前から気づいていたわ。貴方とゼロがただならぬ間柄だとね。」
自分の事のように自慢するカノンに、スザクは視線をそらし顔を俯かせる。
スザクが、ゼロ・ルルーシュを呼び出した枢木神社。
常ならば閑静なこの場所は、今はナイトメアや軍用車などがひしめき、ものものしくなっている。
その中の1台は、兵やナイトメアによって監視されている。
希代のテロリスト、ゼロがブリタニアの学生だったという事実に誰もが驚愕し、ゼロが逃げ出さないよう、ナイトメアを操る騎士はその学生に注視していた。
この監視の元では、ゼロは何も出来ない。ゼロの正体を知っているナイトオブセブンも、殿下の手中に落ちた。
カノンは、勝ち誇った笑みを浮かべる。
しかし、彼は気がつかなかった。目の前の俯いた男の口元が笑みを作っている事を。
突然破壊音が轟く。コーネリアの騎士、ギルフォードがゼロを閉じ込めていた車両を破壊し、脱出させたのだ。
ブリタニア軍が混乱する中、ゼロを手に乗せたヴィンセントがスザクとカノンの頭上に現れる。
「ルルーシュッ!」
スザクが叫ぶ。
すると、ヴィンセントはゼロを乗せた手を降下させた。
「スザクッ!」
ルルーシュが手を伸ばす。スザクが跳躍した。
飛び去って行くナイトメアを、カノンは悔しげな顔で見送る。
「殿下、申し訳ありません。ゼロに逃走を許し、スザクを奪われました。」

ヴィンセントの手の上で、ルルーシュとスザクは顔を見合わせ笑う。スザクは、手の中の小さな機器を握りつぶした。
「盗聴器に発信器……全く、色々仕込んでくれるよ。」
呆れ顔のスザクに、ルルーシュは小さく笑った。
その頬に、手を寄せ眉をひそめる。
「ごめん……痛かったよね。」
自分によって玉砂利に押し付けられた右頬を、スザクはそっと撫でた。 その手に、ルルーシュのものが重ねられる。
「全て奴らを欺くためだ。」
「うん。……でも、やっぱり謝らせて。小さい傷一杯作っちゃったし……」
「演技の下手なお前が手加減なんかしたら、すぐにバレる。だから、あれでよかったんだ。
ブリタニアの情報を得るために、お前をナイトオブラウンズにしたのは俺なんだから……長い間すまなかった。」
「ううん。これは、僕も望んだ事だ。ナナリーを救うために。」
あの日、神根島の洞窟で2人は誓った。ナナリーを必ずルルーシュの元に取り戻すと……
「ユフィが死んだ時、僕は悟った。優しさだけでは、世界は救えない……怒りや憎しみでは世界は変えられないと……だから。」
「俺たちは手を組んだ。大切なものの命と願いを護るために。」
「僕は、ナナリーの命を守り……」
「俺は、ユフィの願いのために闘う。」
そのためには、皇帝に近づく必要があった。ルルーシュは、自分を捕らえその褒美にラウンズの身分を請求する事を提案したのだ。
「あいつに俺を殺す気がないのは分かっていた。その気があればとっくに殺している。だが、ナナリーを使って俺の行動を制限するのに留める策をとったからな。」
「まさか君をエサにC.C.を捕らえようとするとはね。
でも、そのおかげで僕は、ルルーシュとナナリー両方の無事を確認する事ができた。
そして知ったんだ。皇帝の真の目的を……」
「神を殺して、世界を造り変える?碌な事を考えないな。」
ルルーシュとスザクの意見は一致していた。そんな世界、お断りだ!
「まさか、シュナイゼル殿下も皇帝の企みに気づいているとは思わなかった。僕を介して皇帝の動向を探ろうとしてくるから、籠絡してやろうと思ったけれど……さすがに一筋縄ではいかないね。宰相閣下は………」
このままでは身動きが取れなくなると、危険を感じたスザクはルルーシュと合流する事にしたのだ。
神社で見せたパフォーマンスは。あくまで2人が敵対していたと思わせるための茶番。自分が監視されている事を利用して、ゼロに奪われたと見せかけて脱出に成功した。
「でもごめん。ナナリーがまだ政庁に……」
「ナナリーから直接連絡を受けている。ギリギリまでシュナイゼルを引きつけておくと……」
「それじゃあ。やっぱり。」
「ああ。このトウキョウ決戦でナナリーを取り戻す。
スザク。お前の方も抜かりはないな。」
「うん。キャメロットは完全に僕の味方。ラウンズ2人も籠絡済み。いつでも離反して、こちらについてくれる。」
「仕掛けはすんでいる。ナナリーを取り戻し、皇帝の計画を潰す。
シュナイゼルの始末はその後だ。」
「うん。絶対に勝とう。」
「当たり前だ。俺とお前。2人揃って出来なかった事はない。そうだろう?」
ルルーシュの問いかけに、力強く頷く。
「シュナイゼルに、もう2度と手出しはさせないからな。」
手を握って来るルルーシュに、スザクも握り返し、嬉しそうに微笑むのだった。

「スザクは、ルルーシュの元にいるという事だね。」
相変わらずのアルカイックな笑みを浮かべる皇子に。カノンは深々と頭を下げる。
「本当に申し訳ありません。油断していました。」
「まあいい。逃げた小鳥はまた捕まえればすむ事だ。こちらにはナナリーがいるからね。
大きな霞網で、スザク諸共ルルーシュも手に入れてみせるよ。」
「本当に手のやける子供達ですわね。」
「さあ。ルルーシュ。君の手腕、直に見せてもらうよ。」
世界最大の帝国宰相は、不敵な笑みを浮かべる。
決戦の時は近い………

END

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