a captive of prince 第19章:革命 - 9/12

 艦橋に入ってきた3人の皇族に、軍人達は敬礼で迎える。
「状況を教えてくれるかな。」
 シュナイゼルの問いには、オペレーターのセシルが答えた。
「一機先行したナイトメアが黒の騎士団の旗艦とおぼしき艦を発見。戦闘になったようです。
 黒の騎士団は補給活動中だったようで、迎撃は数機のナイトメアのみです。」
「ナイトメア1機だけを先行させたのかい?」
「偵察ではなく?」
「………中華は新型ナイトメアを投入したようです。」
 そう言って、映像を出す。
「これは……っ。」
 いつもは飄々とした態度のロイドの表情が変わり、その映像に釘付けとなった。
 青いボディにフロートシステム、胸部にあるのはまるで砲門のようだ。
「あのフロートは紅蓮と同じものじゃ………」
 スザクの問いに、ロイドは頷く事で答える。
「───中華オリジナルのものとは思えないね。
ロイド、出所が分かるかい?」
「間違いなくインド軍区でしょうね。
………ラクシャータの特徴が出ている。」
「でも、インドは………」
 黒の騎士団とは協力関係にあったはずだ
「インドは、中華とは緊張関係になかったかな。」
 スザクの驚きの声に、オデュッセウスも困惑の表情を浮かべる。
「内情は一枚板ではないという事ですよ。兄上。
 ゼロがどんな計画でいたのか分からないが、インドに援軍は期待できないという事になりますね。さて……ルルーシュはどんな策で切り抜けるつもりなのか………」
 シュナイゼルは、お手並み拝見とばかりに薄く笑う。
「ロイドさん、あのナイトメアのスペックはどのくらいだと思います。」
「紅蓮可翔式と同等もしくはそれ以上……」
 食い入るように見つめながら答えるロイドに、スザクも息を呑んでそのナイトメアを見つめる。
「新しい情報です。中華軍本隊が合流、新型ナイトメアが、敵ナイトメアを捕虜としたようです。」
「捕虜っ!?」
「はい、一騎討ちを挑んできた機体をハーケンのワイヤーを利用して捕らえたようで………」
「捕らえた機体はっ。」
 スザクが矢継ぎ早に質問する。
 黒の騎士団の技術者、ラクシャータが開発したナイトメア……それに一騎討ちを挑んだパイロット……スザクの胸中には暗雲が立ちこめていた。
 そして、その懸念を裏付けるようにセシルが伝えたのは、紅蓮可翔式であった。

 星刻の攻撃から逃れた黒の騎士団は、天帝八十八陵と呼ばれる岩山に立てこもった。
 天帝八十八陵……読んで事の如く歴代の天子が眠る陵墓である。
 自然に出来たものなのか人工的に掘られたのか、巨大な墓に空いた洞窟は黒の騎士団が新造した浮遊航空母艦「斑鳩」の機体を隠すのにちょうどいい広さを有している。
 この場所ならば敵はそう簡単に攻撃する事は出来ない。
 後は、次の仕掛けの準備が整うまで時間を稼げば良い。
 そうすれば突破口は開ける。
 ゼロ…ルルーシュはそう確信していた。

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