艦橋に入ってきた3人の皇族に、軍人達は敬礼で迎える。
「状況を教えてくれるかな。」
シュナイゼルの問いには、オペレーターのセシルが答えた。
「一機先行したナイトメアが黒の騎士団の旗艦とおぼしき艦を発見。戦闘になったようです。
黒の騎士団は補給活動中だったようで、迎撃は数機のナイトメアのみです。」
「ナイトメア1機だけを先行させたのかい?」
「偵察ではなく?」
「………中華は新型ナイトメアを投入したようです。」
そう言って、映像を出す。
「これは……っ。」
いつもは飄々とした態度のロイドの表情が変わり、その映像に釘付けとなった。
青いボディにフロートシステム、胸部にあるのはまるで砲門のようだ。
「あのフロートは紅蓮と同じものじゃ………」
スザクの問いに、ロイドは頷く事で答える。
「───中華オリジナルのものとは思えないね。
ロイド、出所が分かるかい?」
「間違いなくインド軍区でしょうね。
………ラクシャータの特徴が出ている。」
「でも、インドは………」
黒の騎士団とは協力関係にあったはずだ
「インドは、中華とは緊張関係になかったかな。」
スザクの驚きの声に、オデュッセウスも困惑の表情を浮かべる。
「内情は一枚板ではないという事ですよ。兄上。
ゼロがどんな計画でいたのか分からないが、インドに援軍は期待できないという事になりますね。さて……ルルーシュはどんな策で切り抜けるつもりなのか………」
シュナイゼルは、お手並み拝見とばかりに薄く笑う。
「ロイドさん、あのナイトメアのスペックはどのくらいだと思います。」
「紅蓮可翔式と同等もしくはそれ以上……」
食い入るように見つめながら答えるロイドに、スザクも息を呑んでそのナイトメアを見つめる。
「新しい情報です。中華軍本隊が合流、新型ナイトメアが、敵ナイトメアを捕虜としたようです。」
「捕虜っ!?」
「はい、一騎討ちを挑んできた機体をハーケンのワイヤーを利用して捕らえたようで………」
「捕らえた機体はっ。」
スザクが矢継ぎ早に質問する。
黒の騎士団の技術者、ラクシャータが開発したナイトメア……それに一騎討ちを挑んだパイロット……スザクの胸中には暗雲が立ちこめていた。
そして、その懸念を裏付けるようにセシルが伝えたのは、紅蓮可翔式であった。
星刻の攻撃から逃れた黒の騎士団は、天帝八十八陵と呼ばれる岩山に立てこもった。
天帝八十八陵……読んで事の如く歴代の天子が眠る陵墓である。
自然に出来たものなのか人工的に掘られたのか、巨大な墓に空いた洞窟は黒の騎士団が新造した浮遊航空母艦「斑鳩」の機体を隠すのにちょうどいい広さを有している。
この場所ならば敵はそう簡単に攻撃する事は出来ない。
後は、次の仕掛けの準備が整うまで時間を稼げば良い。
そうすれば突破口は開ける。
ゼロ…ルルーシュはそう確信していた。
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