プロローグ

「スザク…僕は…ブリタニアをぶっ壊す!!」
自分と妹を捨てた国への強い呪詛の言葉を残して、親友となった異国の少年は、迎えにきた黒塗りの車と共に去っていった。
後部座席から名残を惜しむ様に、車窓に張り付いた彼の口が何度も自分の名を呼ぶのを、スザクは、呆然として見送っていた。
「ルルーシュ─!」
車が見えなくなる頃、スザクは、その大切な友の名をやっと呼ぶ事が出来た。

すっかり車が見えなくなると、スザクの傍らで彼を守る様に佇んでいた軍人が声をかけてくる。
「スザク君。我々もここを去ろう。」
「──はい。」
こぼれる涙を拭い、師と仰ぐ藤堂の部下であるという尉官に連れられ軍用車に乗り込む。
首都は既に陥落し、父である首相枢木ゲンブは、徹底抗戦を唱える軍部を押さえるために自刃したと報道されている。
枢木内閣を影で動かしていた桐原泰三が用意した日本降伏のシナリオ通りに進んでいく事に、スザクは成す術も無く流されていく。

自分が犯した罪は断罪される事も無く、抜いてしまった刃は情け容赦なく己を切りつける。
居たたまれなさに、じっと足下を見つめていた。
と、突然、車が急ブレーキをかけた。
車内を衝撃が襲い、スザクは座席から投げ出された。
「ブ…ブリタニア軍!!」

無慈悲な砲火。爆音。火薬と焼けこげる臭い……
その日、一人の少年が「日本」から消えた。

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