「それから数日してからだ、スザクの様子がおかしくなったのは……」
ルルーシュがぽつりと言う。
「頭痛がすると言い出すようになったんだ。そして、誰かに監視されている気がすると……」
側で見ているルルーシュには、スザクが常に気を張っているのが解った。
そして、度々ルルーシュに身を隠すように言いおいて戸外へ飛び出して行く。
スザクが何を警戒しているのか解るだけに、言う通りにしていたがこのままではスザクの神経がまいってしまう。
「監視システムの復活を提案したのは俺だ。
俺は、その監視者が存在するのか解らなかったが、スザクには解るらしい。
あいつが言うには、相手も軍かなにかでそれなりの訓練を受けた者ではないかという事だ。」
監視モニターのデータを再生しながらルルーシュが言う。
ジノは、その画面に映る男を見つめた。
「───確かに……素人の動きとは思えない部分があるな。」
初めてその画像を見たときのスザクの表情を、ルルーシュは、はっきりと思いだせる。
あの驚きと恐怖に引きつらせた顔を……
「スザク……大丈夫か……?」
青ざめるスザクの肩に手をやれば、びくりと跳ね上がる。
「───彼だ……僕を、ナイトオブゼロだと言った……」
「こいつか。」
「ここまで突き止めたんだ……」
「尋常じゃないな……何が目的だ。この男……」
一人言のような問いかけに、スザクは頭を振る。
「解らない……僕をナイトオブゼロと確認して…殺すつもりなのか……それとも、僕が生きている事から……ルルーシュ。
君の生存も疑っているのかもしれない。」
青ざめながらもスザクは、はっきりとそう言った。
スザクが最も恐れていたのは、ルルーシュの生存が知られ、ゼロレクイエムの真実を暴露される事だった。
「折角ここまで安定して来たのに……僕たち2人にいい様に操られていたと考える人が出てしまったら、また混乱する。それだけは……!」
ルルーシュは、もはやそんな事はないだろうと考えていたが、スザクの懸念を払拭するだけの材料も無かった事から、なるべく見られないように気を配って生活する事にした。
「ここを引き払って、新たに住民登録し、別人として生活するための準備を整えたところだった……!」
ルルーシュが奥歯を噛み締める。
「ルルーシュ。スザクは度々頭痛を訴えていたと言ったな。」
C.C.が口を開く。
「ああ。」
怪訝な表情のルルーシュに、小さく息を吐く。
「その原因は奴にあるかもしれん。」
そう言って、画面の男をさす。
「なに……?」
「ルルーシュ。こいつは、第3のコード保持者だ。」
C.C.から告げられた言葉に、ルルーシュとジノは言葉を失い、その男を見つめた。
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