Lonely soul  - 21/22

「さあ。着いた。」
ルルーシュ運転の乗用車から、スザクはルルーシュの生家を見た。
「ここがアリエス宮……」
静かな佇まいのその城を、2人は感慨深げに見上げる。
ライの襲撃を受けてから1か月……
ルルーシュとスザクは、蓬莱島にある黒の騎士団内の医療施設から日本の皇家に身を寄せていた。
というのも、ルルーシュが、ライについての文献があるかもしれないと神楽耶に話をつけ、古い文献の調査を皇家、枢家両方でしていたからだ。
その間2人は1度もブリタニアには戻らず、新居のリフォームや引っ越しは全てナナリーとライがしていた。
気をもむスザクを宥めながら、ルルーシュは頑として日本から離れようとはしなかった。
日本にいる間、ルルーシュは皇家、特に枢木家の縁戚と交流を深めていた。スザクにとってはもう縁の切れた人々であったが、ルルーシュのおかげで途絶えていた関係の修復もでき、それなりに実のある滞在だった。
そして今日、新しい住まいになるこのアリエス宮の前に立ち、スザクは少し緊張していた。
「ここでルルーシュは生まれて…子供時代を過ごしたんだね。……懐かしい?」
「まあ…な。親父にたてついて追い出されるまでは、それなりに幸せに過ごしていたからな。
まさか、またここに戻ってくるとは思わなかったが……」
そう答えて、フッと笑みを浮かべてスザクを見る。
「なに?」
「日本でも、同じようなやり取りをしなかったか?」
指摘されて、スザクも思わず笑みをこぼす。
「本当だ。」
「さあ。開けるぞ。」
両開きの玄関ドアを開けると、パアーン。と大きな音と紙吹雪が2人を歓迎した。

「お帰りなさい。」
嬉しそうなナナリーの声が、2人を出迎える。
ドアの前には、ナナリーを始めライ、C.C.、ジノとアーニャ、ジェレミアまでいた。
「凄い歓迎だな。」
ナナリーに頬を寄せてただいまと言えば、ルルーシュの頬にキスで答える。
「お2人がいらっしゃるのを今か今かと待っていましたもの。
お兄様の仰る通りに内装の手入れをしました。きっと暮らしやすくなっているはずです。家具や調度はライさんのお見立てですのよ。」
玄関ホールから見渡せる調度類に、満足そうに笑う。
「ああ。いい見立てだ。」
「ナナリー、ライ。ありがとう。2人にはすっかり甘えてしまって……」
「あら、とんでもない。お2人のための家を用意するなんて、こんな楽しい事はありませんもの。」
「スザク……その…君とルルーシュには本当にすまない事をした。
本来なら、顔を会わす事もできない私をここに住まわせてくれて……
君たちのために最高のものを用意したつもりだ。」
「ライ……僕も、命をかけて守ると誓った人を死なせてしまった事がある……
だから、君の哀しみも苦しさも理解できる。皆、心のどこかに痛みや孤独を抱えて生きているんだ。
君は1人じゃない……だから……」
「ああ。私はここで……お前達の側で人生をやり直す。
私に出来る事はなんでも協力するから言ってくれ。」
「ありがとう。」
スザクの笑顔に、ライは救われた思いがした。
それと同時に彼の心の強さに驚嘆していた。
何故、彼は自分に笑いかける事ができるのだろう。
ふとルルーシュを見れば、勝ち誇った顔でライを見ている。
肩をすくめ。苦笑するしかなかった。

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