「惚れた女の変わりにされている……かなりアブナイぞこいつ……」
C.C.が、伏せていた目を開け開口一番そう言えば、ルルーシュの顔が引きつる。
「どういう事だ。」
「スザクの髪と瞳の色があいつの惚れた女と同じらしい。
生まれ変わりとか言っていたから、その女はとっくに死んでいるのだろう。」
「……その相手が忘れられず、たまたま同じパーツを持っていたスザクに執着したという事か?」
「───ヤバすぎるだろう。」
ジノは青ざめた顔で、PC画面の男を見る。
「しかし何故だ。あいつは、スザクの事をナイトオブゼロと認識していた。何故あいつは、ナイトオブゼロ・枢木スザクに執着するんだ?」
「さあな。どこかで見たんだろう……画像がそこら中に氾濫していた時期があるからな。」
「そんなはずはない。俺は悪逆皇帝を印象づけるためにかなり露出したが、スザクは公の場には……特に衆目に晒されるような場には連れて行っていない。」
「大事な恋人を、好奇の目にさらしたくなかったのか。」
揶揄するC.C.を鋭く睨む。
「仮面を取った後を考えて、そうしたんだ。」
「───だとすると……きっとあれだな。
あれはかなりセンセーショナルだったから。」
ジノに2人が注目する。
「あれだよ。第99代皇帝としてルルーシュが名乗りを上げた……前皇帝の弑逆と帝位の簒奪宣言。」
「そうだ。5年前、全世界に中継されたあの放送で初めてお前を見た。画面越しでもすぐ解ったよ。フランソワーズの瞳だと……」
スザクに馬乗りになり、両手をベッドに押さえつけて男は言う。
「だからブリタニア軍に入ったんだ。お前に近づくために……
残念ながら、お前に近い階級になる前に、ナイトオブゼロはダモクレスで戦死してしまった。……あのときの私の落胆がお前に解るか?
やっと見つけたと思ったのに……またこの瞳を持つものが生まれてくるのを待たなくてはならない私の哀しみを……!」
訴えを浴びせかける男を、スザクは恐怖に見開いた目で見る。
どんな苛酷な戦場に赴いても、こんな恐怖心を抱いた事は無かった。
きっとこれから自分がどうなるのか、想像がつかないからだ。
悪意や憎悪に晒される事にはなれている。そう言った感情には免疫はあるが、男がスザクにぶつけている感情はまた異質のものだ。
怯えるスザクの瞼にキスを落とす。
「だがお前は死んでいなかった。こうしてまた私の前に現れた。
こんなチャンスをどうして不意にできる?やっと。…やっとフランソワーズを取り戻せるんだ。」
「フランソワーズとは……君の側にいた貴族の少女か?」
スザクの言葉に、男は目を見開く。
「何故知っている。」
思わず口をついて出てしまった疑問に、スザクは狼狽し顔を背けるが、男の方に向けさせられてしまう。
「言え。フランソワーズの事をどうやって知った。」
「………言って信じるかどうか……
君に口を塞がれたとき、記憶の断片が僕の中に入って来た……」
男の顔に驚きの表情が浮かび、次の瞬間には口元をつり上げる。
「口を塞がれた……?あれは、接吻というのだろう。」
男に目に危険な色を察し逃れようとするが、簡単に押さえつけられてしまう。
「はなせっ……!」
「口づけでそうなら……もっと深く繋がったらどうなる……?」
自分の言動を後悔しても遅かった。
必死に抗うスザクを見下ろす男には嗜虐的な笑みが浮かんでいた。
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