小説

Extra care

「アルーっ。お出かけ?」「どこいくのぉ?」足にまとわりついて質問してくる子供たちの目線まで腰を落とし、アルフォンスは笑いかける。「急なお仕事で、中央セントラルまで行くんだ。」「セントラルっ!?」兄とうり二つの甥っ子はその金色の瞳を煌めさせる…

Their reasons

「ああ。美味しかったぁ。」ピナコとウインリィの手料理をぺろりと平らげ、アルフォンスは満足そうに腹をさする。彼の様子に、ピナコもウインリィも満足げな笑みを浮かべた。「ばっちゃん。ウインリィありがとう。とーっても美味しかったよ。」「そうかい。い…

幸せのカタチ

駅からロックベル家に到着した兄弟を、飼い犬のデンが発見して嬉しそうに尾を振りながら、歓迎するように声を上げる。その様子に、アルフォンスはアメストリスに帰ってきたことを実感するのだった。「ただいま。デン。」飛びついてくる犬の頭をなでてやる弟を…

詐偽の対価

「もしもし。あっ兄さん?やっぱり、もう帰っていたんだね。うん。今、イーストシティ……予定だったら昨日のうちに発つはずだったんだけど……ちょっとお節介焼いたらマスタング准将に捕まっちゃって。」朝一番で、ここイーストシティ駅を出発する列車を待つ…

銀時計

アルフォンスは今日何度目かのため息を漏らした。予定では、今頃はリゼンブール行きの列車に乗っているはずだった。いや、夜行列車があるかもしれない。上着のポケットから簡易版の時刻表を取り出すとページを繰って、また嘆息する。今夜は、この街で宿をとる…

優しい世界

行政特区成功パターン ユフィ×スザ皇歴2017年12月10日。「行政特区・日本」が設立された。被支配民である日本人の権利を認め、ブリタニア人との対等な立場を保証する行政特区。ブリタニアの国是からすると、とてもあり得ない政策は、一人の皇女のわ…

この世界で

「復活のルルーシュ」ネタ。 「目が覚めたのか。ゼロ……いや。─枢木スザク。」気が付いた時、耳に飛び込んできた声に心臓が跳ね上がったのが分かった。もう二度と聞くことないと思って言った声だ。低く甘い響きのテノールが、自分の名を呼んだ。…

誓約

ルル誕SS「じれったい」の続編です。 真っ白な騎士服。真新しい上着の袖に腕を通す。体の線に沿った形に仕上げられたそれをきっちりと着こなし、スザクは鏡の前で背筋を伸ばす。やっと、やっとこの日を迎えることができた。ブリタニアから人質と…

じれったい

スザルル風味のルルスザです。私立アッシュフォード学園。ブリタニアの没落貴族ルーベン・アッシュフォードが、属領となったエリア11(旧日本国)に私財を投じて設立した学校法人である。中等部から大学まである広大な敷地の一角、高等部のクラブハウス内に…

啼泣

ダモクレス戦後捏造。慟哭の続編になります。今回はガッツリR-18 です。熱を持った体が重く感じる。与えられる甘い刺激を拒絶したいが、この体では思うように動いてくれない。「だめ…だ……こんな……」せめて言葉で抵抗を示したかったが、気持ちと裏腹…

慟哭

ラグナレクの接続阻止後。かなり辛くて痛いです。それでも、もしよろしければ……「ゼロは、ユフィの仇だ。」「だから?」冷めた表情と淡々とした口調。先ほどまでの激情のかけらもない一見冷静そうなルルーシュに、スザクは眉根を寄せる。振り上げた剣を下ろ…